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おじさんはいい。なぜだかおじさんを見るとイラストにしたくなる。
夜も働く交通整理のおじさん、ランニングとももひきででうろうろするおじさん、若い子にまじってソフトクリームを食べている仕事帰りのおじさん、へべれけに酔っぱらっちゃってるどうしようもないおじさん、いやー巨人だめだね、とおしぼりで汗を拭くおじさん。

おじさんは何をしても絵になる。いろんなものがにじみ出ている。
そんな魅力的なおじさん達をいつもはちらっと見てるだけだったけれど、じーーーっと見たらまた何かおもしろい魅力がでてくるかもしれない、そんなわけで気になったおじさんについていってみることにした。
知られざるふつうのおじさんの世界!
番外編「おじさんと行く温泉旅行/その3」
次の朝。
朝風呂に入ってから、食事の部屋へ。昨日と同じ席順で座る。
さわやかな私たちとは対照的に、完全にお酒がのこっている様子のおじさん達。やはりカラオケの後も飲み、こたつで寝たそうだ…。佐藤さんは完全に夜の顔で、目のまわりが赤い。しんどそうでありつつも笑顔でなんとビールを! 「向かい酒」。聞いたことはあったがやっている人を見るのは初めてで驚いた。あきらさんはわりと普通だったが、もう酒はいいやといった様子。一番ひどいのは堺さん。もうぐったり。「大丈夫ですか〜?」と聞くと、力のない笑顔がかえってきた。
朝食を済ませ、出かける準備をする。

今日は湯河原の梅園へ寄ってから東京へ帰るという日程。
そういうわけでタクシーで梅園へ。あきらさんは、昨晩泊まった宿の評判や、最近の湯河原の状況をタクシーの運転手さんに聞いていた。そうこうしているうちに梅園に到着。まだ5分咲きくらいだったが賑わっている様子。入口で入場券を買い、甘酒をもらえるチケットをもらう。
6人で山肌を歩き始める。

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山になったら急におじさん達を小さく感じる。とぼとぼとした様子だったので、後ろのおじさん達を気にしつつ歩く。堺さんなんてついてくるのが精一杯といった様子で、だらんとしており梅を見ている気配もない。梅見物といっても、5分咲き程度だと華やかさはなく、だからといって枝をながめて静かにゆったりできる場所のもないので、梅林見物というのはなんともどうしたら楽しめるのかよくわからなかった。
ふもとは、屋台がでていたり、遊園地にあるようなテーブルやイスもセットされていて、とても賑やか。さっきのチケットで甘酒をもらいイスに座る。ふと後ろを見ると堺さんがうつむいて座っている。「堺さん、だいじょうぶですか〜?」と聞くと「う〜ん、だめ。地面が揺れてる」と堺さん。わたし苦笑。堺さんは気持ち悪いらしく、会話にも入ってこない。そっとしておく。
ここで佐藤さん、なんと地酒を発見し、「寒いし熱燗で飲みたい」と言い出す。「えっ…」あきらさん、堺さん含め全員で呆れる。「だって地酒だよ〜おいしそうじゃない、ここまできたら飲むしかないよ」と佐藤さん。「一つ買うから飲みましょうよ」とあきらさんに提案するが「もういいよ〜」と断られる。堺さんにも提案したが「いや、いらない」とうつむいたまま返答。女性陣苦笑い。そんな中「そう〜? 飲めるよ〜」と買ってきて「あったまるな〜」と結局一杯飲んでしまっていた。恐るべし佐藤さん。

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またタクシーに乗って湯河原駅へもどる。お昼を食べようということになり、佐藤さんがタクシーの運転手さんにこのあたりのお店を聞いてくれたので、そこへ向かう。歩く事10分。趣のある和食屋さんを発見。入ろうとすると喪服の人が数人でてきた。嫌な予感。「法事の為貸しきり」と貼り紙をみつける。けっこう歩いたので一同落胆する。「あれ〜困ったな」とあきらさん。「こんなに歩いたのに」と堺さん。「あれーごめんごめん、じゃああのそばやにいきましょう」と明るい佐藤さん。そんなわけで、おいしそうな和食屋さんを後にし、来る途中にあったお蕎麦やさんに入る事にする。昼時のため混んでいたので全員一緒には座れなくて、わたし達、おじさん達で別れて座る。わたしは「胡麻ダレ豚しゃぶそば」という邪道なものを頂くがとてもおいしかった!
また来た道を歩いてもどり、駅前のお土産物屋さんでかまぼこを見る。ここでは各人ばらばらにかまぼこに集中していた。わたしも試食したりしてお土産屋さんを堪能。

いよいよ旅も終盤に。これで1泊2日の温泉旅行も帰るだけとなる。行きと同じく、佐藤さんに切符をもらい乗り込む。行きと同じ席順で座る。帰りの電車は仕事の話でもりあがる。わたし以外、全員同じ業界なので、昔の事情や今の状況を話していた。わたしは3割くらいしかわからなかった。そしてだめ押しでおじさん達はお酒を飲んでいた。3人とも1缶くらいだったものの、佐藤さん堺さんはビールを。あきらさんは酎ハイを飲んでいました。
そんなこんなで東京駅に到着。佐藤さんにかまぼこセットのお土産をもらう。湯河原のお土産物屋さんで買ってくれたのだった。「どうもありがとう!」と言われ、「どうもありがとうございました!」と言いホームで別れる。濃すぎた1泊2日の温泉旅行は無事終わりました。

実はこの旅行に行ったのは半年ほど前だったけど、旅行直後は全く文章にする気がおきなかった。なぜなら濃すぎたから。濃すぎて、思い出してまとめることを考えるとなんだかぐったりした気分になった。
わたしは旅行に行ったら、その日その場でスケッチブックにあれこれ書き残すのを楽しいとしていたので、間を半年空けたということでどんなに強烈だったかがわかった。
いまだに気になるのは、佐藤さんが心配していた友人のこと。その人は旅行代を払うのだろうか、佐藤さんは怒ったのだろうか、あ〜それを考えるとまたぐったりしてきた。でも佐藤さんのことだから「まぁしょうがないよ」と一緒にお酒を飲んでいるはずだ。完

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# by webmag-e | 2007-10-15 13:12 | 番外編 おじさんと行く温泉−3